猫を残して逝けない|50代おひとりさまがペット信託を調べてわかった、思ったより複雑な現実

おひとりさま

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前回の記事で、私はこんな”宿題”を残しました。

もし私に何かあったら、この子はどうなる?|高熱で寝込んだ夜に考えた、猫と私の”もしも”の備え

「ペット信託について、本を一冊読むところから始める」と書いたまま、しばらく置いていたテーマです。

でも、相棒(うちの保護猫キジトラ・9歳)の寝顔を見ているとふと思い出して、「そろそろ向き合わなきゃな」と。 重い腰を上げて、本やネットで少しずつ調べ始めました。

調べてみてまず思ったのは、

「思ったより、ずっと複雑だった」

ということ。 そして同時に、「複雑だからこそ、早めに知っておいてよかった」ということでもありました。

この記事では、

  • 50代おひとりさまでペットと暮らしている方
  • 「ペット信託」という言葉は聞いたことがあるけれど詳しくは知らない方
  • 自分の”もしも”の備えを真剣に考え始めた方

に向けて、私自身がまだ調べ始めの段階で見えてきたことを、率直に書いていきます。

専門家ではないので、細かい数字や手続きは「いま調べたらこうだった」という当事者目線です。 正確な手続きは、最後に必ず専門家に相談することを前提に読んでくださいね。


  1. 「ペット信託」って、想像していたより重い制度だった
    1. でも、実際は契約・お金・人がぜんぶ絡む話だった
    2. でも、重いからこそ「ちゃんと残せる」とも言える
  2. そもそもペット信託って、どういう仕組み?
    1. 登場人物は「3〜4人」
    2. 契約は「元気なうちに」結んでおく
    3. 発効するタイミングを選べる
  3. 似ている制度との違いを、ざっくり整理してみた
    1. ① 負担付き遺贈(ふたんつきいぞう)
    2. ② 負担付き贈与(ふたんつきぞうよ)
    3. ③ ペット信託
    4. ④ ペット保険
  4. 実際にかかるお金のこと——調べて出てきたざっくり相場
    1. 初期費用(契約時にかかるお金)
    2. 信託する財産(飼育費)
    3. 受託者・監督人への報酬
    4. 全体感
  5. いちばん難しかったのは、「誰に託すか」だった
    1. 親族に頼みづらい
    2. 友人も同世代で、同じ状況のことが多い
    3. ペット信託専門の団体という選択肢
    4. かかりつけ獣医さんに、相談だけでもしてみる
  6. それでも、私がいまできる小さな一歩
    1. ① エンディングノートに、相棒のことを詳しく書く
    2. ② 信頼できる友人に「概要だけ」話しておく
    3. ③ 専門家への相談を、見積もり段階だけでもしてみる
    4. ④ ペット信託について書かれた本を、まず1冊読む
  7. 「完璧」を目指さなくていい、と気づいた
  8. おわりに——調べたこと自体が、すでに一歩だった

「ペット信託」って、想像していたより重い制度だった

正直に言うと、調べる前の私は、ペット信託をかなり軽く見ていました。

なんとなく、「お金を預けておけば、自動的に誰かが面倒を見てくれる仕組み」くらいの理解で。 ネットの広告で「ペット信託で安心」みたいな文言を見かけることもあって、申し込めば終わるものだとぼんやり思っていたんです。

でも、実際は契約・お金・人がぜんぶ絡む話だった

調べていくうちにわかったのは、ペット信託は「契約」「お金」「人」がぜんぶ絡む、けっこう本格的な制度だということ。

具体的には、

  • 信託契約を結ぶ(場合によっては公正証書にする)
  • 信託する財産(飼育費)を決めて、別口座に分ける
  • 受託者(お金を管理する人)と、新しい飼い主を別々に決める
  • 場合によっては、第三者の「監督人」を立てる

これだけのことを、自分が元気なうちに整えておく必要があります。

「えっ、そんなに大ごとなの?」というのが、調べた直後のいちばん正直な感想でした。

でも、重いからこそ「ちゃんと残せる」とも言える

最初は重さにひるみましたが、しばらく考えて思い直したことがあります。

それは、重さの分だけ確実性があるということ。

たとえば「友人にお願いしておくね」という口約束だけでは、その友人の気が変わったり、事情が変わったりする可能性があります。 でも信託契約を交わしておけば、お金の使い道もチェックされるし、約束が破られにくい。

「相棒の20年近い寿命を考えると、口約束では足りない」

これは、調べていて何度も納得したポイントでした。


そもそもペット信託って、どういう仕組み?

ここで、ペット信託の基本のしくみを、私が理解した範囲でまとめます。

ペット信託の仕組み図解。委託者・受託者・受益者・信託監督人の関係、契約は元気なうちに、発効するタイミングを選べることを解説

登場人物は「3〜4人」

ペット信託には、登場人物が3〜4人います。

  • 委託者:飼い主本人(私)
  • 受託者:信託したお金を管理する人や団体
  • 受益者:実際にペットの世話をする新しい飼い主
  • 信託監督人:受託者がちゃんと仕事をしているか見張る人(任意)

ここで大事なのは、受託者と受益者が別の人になるケースが多いこと。

「お金を管理する人」と「猫の世話をする人」を分けることで、 お金の使い込みや、世話の手抜きを防ぐ仕組みになっているわけです。

契約は「元気なうちに」結んでおく

ペット信託は、飼い主が元気なうちに契約しておくのが大前提です。

亡くなってからや、判断能力が落ちてからでは結べません。 だからこそ、「いつかやろう」では間に合わない可能性がある制度なんです。

50代の今だからこそ動ける——これが、いま私が調べている大きな動機にもなっています。

発効するタイミングを選べる

契約のタイミングと、発効するタイミングは別。

  • 飼い主が亡くなったとき
  • 飼い主が判断能力を失ったとき
  • 飼い主が長期入院したとき

など、「こうなったら発効する」というスイッチを、契約で決めておけるそうです。

これは私には大きな発見でした。 「死んだとき」だけじゃなくて「動けなくなったとき」もカバーできる——おひとりさまにとっては、ここが一番ありがたいポイントだと思います。


似ている制度との違いを、ざっくり整理してみた

ペット信託を調べていると、似た言葉がいくつも出てきます。 私自身、最初は混乱したので、整理してみました。

ペット信託と似ている制度の比較表。負担付き遺贈・負担付き贈与・ペット信託・ペット保険のメリットとデメリットを整理

① 負担付き遺贈(ふたんつきいぞう)

遺言書に「この財産を○○さんに遺贈する。ただし、私の猫の世話をすること」と書く方法です。

メリット:遺言書だけで済むので、比較的シンプル。 デメリット

  • 遺言は死後にしか発効しないので、生前に動けなくなったときには対応できない
  • 受け取った人が「やっぱり無理」と遺贈を放棄することもできる
  • 監督する人がいないので、世話されているかチェックできない

調べてみて、「私のような状況だと、これだけでは不安かな」と感じました。

② 負担付き贈与(ふたんつきぞうよ)

生前に「これを差し上げます。代わりに猫の世話をしてください」と贈与する方法。

メリット:契約自体はシンプル。 デメリット

  • 元気なうちにお金を相手に渡してしまうので、自分の老後資金にも影響する
  • 約束を守ってもらえなかったときの対処が難しい

おひとりさまで自分の老後資金も大事な私には、これも合わない気がしました。

③ ペット信託

これが、いちばんしっかりしている代わりにいちばん手間とお金がかかる方法です。

メリット

  • 契約時から発効まで、柔軟にスイッチを設定できる
  • 受託者と受益者を分けて、チェック機能を持たせられる
  • 監督人を立てれば、さらに安心

デメリット

  • 専門家に依頼することが多く、初期費用がそれなりにかかる
  • 信託する財産も、ある程度まとまった額が必要

「ちゃんとしている分、ハードルも高い」——これが私の率直な印象でした。

④ ペット保険

これは「もしも」とは少し違う制度ですが、混同しないように整理しておきます。

ペット保険は、ペットがケガや病気をしたときの医療費をカバーするもの。 飼い主の「もしも」には対応していません。

「ペット信託に入っていればペット保険はいらない?」と思いがちですが、目的が違うので、両方を組み合わせる人もいるそうです。


実際にかかるお金のこと——調べて出てきたざっくり相場

ここがいちばん気になるところ。 私もまず最初に「で、いくらかかるの?」と検索しました。

ペット信託にかかるお金の相場図解。初期費用、信託する財産、受託者・監督人への報酬、合計300万〜500万円の全体感

事前に書いておくと、金額は依頼先や契約内容で大きく変わります。 あくまで「いま調べた範囲のざっくり相場」として読んでくださいね。

初期費用(契約時にかかるお金)

  • 信託契約書の作成:30万〜50万円程度(行政書士・司法書士・弁護士など)
  • 公正証書にする場合:3万〜5万円程度

合計で40万〜60万円くらいかかるケースが多いようでした。

「えっ、そんなに……」と最初は固まりました。 でも、遺言書や任意後見契約と一緒に整えるケースもあって、その場合は全部まとめて専門家にお願いすることでまとめ価格になることもあるそうです。

信託する財産(飼育費)

これがいちばん大きな金額になります。 猫1匹の年間飼育費を約20万〜30万円として、

  • フード・トイレ砂などの日常費
  • 動物病院代
  • ペットシッター代
  • 万が一の入院・治療費

これらを合算して、残りの寿命分を信託することになります。

たとえば9歳の猫で、20歳まで生きるとすると残り11年。 年20万円なら約220万円、年30万円なら約330万円。 ここに緊急時の医療費も上乗せして考える必要があります。

受託者・監督人への報酬

団体や個人に依頼する場合、月々数千円〜の報酬が発生することもあります。 これも信託財産の中から払う形になるので、総額に上乗せして見積もる必要があります。

全体感

合算すると、おおよそ300万〜500万円くらいの規模を見ておく必要がありそう。 「うっ……」と一瞬たじろぐ金額ですが、見方を変えれば、

「相棒が天寿をまっとうするまでの安心代」

を、いま整えておくお金、ということ。 私自身、まだ「いまこの瞬間に出せる金額か」と聞かれたら正直難しい。 でも、少しずつ目的別口座で貯めていく対象として、目標額は見えてきた気がしています。


いちばん難しかったのは、「誰に託すか」だった

調べていて、お金以上に難しいと感じたのが、「誰に託すか」の問題。 おひとりさまにとっては、ここが本丸だと思います。

親族に頼みづらい

私の場合、母はもう亡くなって、父は施設に入っています。 兄弟姉妹はいるけれど、それぞれの暮らしや家族があって、「猫を引き取って」とは気軽に頼めない距離感

「血のつながった家族なら頼みやすい」というのは、必ずしもそうじゃないんですよね。 むしろ、家族だからこそ、相手の暮らしへの負担を気にしてしまう

これは、おひとりさま同士で話していると、よく出てくる話題でもあります。

友人も同世代で、同じ状況のことが多い

じゃあ友人は——というと、これも難しい。

50代の友人たちは、自分自身の親の介護や、自分の老いと向き合っている時期。 そこに「私にもしものことがあったら、うちの猫を……」と頼むのは、相手にとっても重い。

逆に、若い世代の知り合いに頼める関係性があれば理想的ですが、20年近い猫の寿命を考えると、その人の人生設計まで巻き込むことになります。

ペット信託専門の団体という選択肢

そこで出てくるのが、NPOや一般社団法人で、ペットの引き取り・終生飼育を専門にしている団体

調べてみると、

  • 事前に登録しておく
  • 飼い主に万が一があったとき、団体がペットを引き取る
  • 信託契約とセットで運営している団体もある

という仕組みがあるそうです。

ただ、団体ごとに信頼性や運営状況に差があるので、ここの見極めが本当に難しい。 「ホームページがきれいだから安心」とは限らない世界です。

「実際に施設を見学する」「複数の団体を比較する」「契約書の中身を専門家に見てもらう」——このあたりは、絶対に省略しないほうがいいと感じました。

かかりつけ獣医さんに、相談だけでもしてみる

これは私が「できるところから」と思って動き始めたこと。

かかりつけの動物病院は、地域のペット事情にいちばん詳しい場所でもあります。 信頼できる引き取り団体を知っているかもしれないし、同じ立場のおひとりさま飼い主の事例を知っているかもしれない。

次の通院のとき、ちょっと聞いてみようと思っています。


それでも、私がいまできる小さな一歩

ペット信託は、私にとってまだ「契約する」段階ではありません。 お金の準備も、託す相手も、まだ決まりきっていない。

でも、調べてみて気づいたのは、「契約する前の段階で、できることがたくさんある」ということでした。

① エンディングノートに、相棒のことを詳しく書く

これは、いますぐ無料で始められること。

  • 相棒の名前・生年月日・性格
  • かかりつけ動物病院と連絡先
  • 食べているフード・トイレ砂の銘柄
  • 既往症や、苦手なこと
  • 万が一のときに連絡してほしい人

これを書いておくだけで、「もし急に何かあっても、来てくれた人がすぐ動ける」状態になります。 私はちょうど、自分用のエンディングノートを書き始めるところなので、相棒の項目もしっかり入れる予定です。

② 信頼できる友人に「概要だけ」話しておく

正式な契約はまだでも、「もしものとき、まずあなたに連絡が行くようにしたい」くらいの話は、いまからでもできます。

鍵を預けている友人には、近いうちにきちんと話そうと思っています。 「契約してから話す」ではなく、「話しながら考えていく」順番のほうが、私には合っている気がします。

③ 専門家への相談を、見積もり段階だけでもしてみる

最初から契約しなくても、「相談だけ」「見積もりだけ」を受けてくれる専門家もいます。

  • 自分の状況だと、どんな選択肢があるのか
  • どのくらいの費用感になりそうか
  • 遺言書や任意後見契約とセットにできるか

これを聞いてみるだけでも、頭の中の霧が晴れる気がします。 私もそろそろ、地域の行政書士さんに一度相談してみようかなと思っているところです。

④ ペット信託について書かれた本を、まず1冊読む

これは7本目の宿題でもありました。 正直、ネットの情報だけだと断片的すぎて全体像がつかみにくいんです。

体系的に書かれた本を1冊読むと、自分の状況に当てはめながら考えられるようになります。 私もいま、何冊か候補を選んでいる段階です。

参考までに、いま気になっている本を2冊だけ載せておきますね(あくまで私が読んでみたいと思っているもので、内容を保証するものではありません)。


「完璧」を目指さなくていい、と気づいた

調べていて、途中で何度かくじけそうになりました。

「お金も、人も、時間も、ぜんぶ揃っていないと無理なのかな」 「結局、おひとりさまには厳しい制度なんじゃないか」

そんなふうに感じた瞬間が、正直何度もあります。

でも、最後にたどり着いたのは、

「完璧を目指さなくていい。少しずつ、できるところから整えていく」

という考え方でした。

ペット信託の契約までいかなくても、

  • エンディングノートに猫のことを書く
  • 鍵を預けている友人と段取りを共有する
  • 目的別口座で飼育費を積み立てる
  • かかりつけ獣医さんに状況を話しておく

これだけでも、何もしていない状態よりずっと安心が積み上がる

「いつか完璧に整える」を目指して何もしないより、「今日できる小さな一手」を打ち続けるほうが、相棒のためになる——そう思えるようになりました。


おわりに——調べたこと自体が、すでに一歩だった

ペット信託について調べてみて、結果として「すぐ契約する」という結論にはなりませんでした。 でも、不思議と気持ちは軽くなっています。

それは、「わからない」という状態から「わかった上で選んでいる」状態に変わったから

調べる前は、漠然とした不安だけがありました。 「いつかやらなきゃ」「でも何から手をつけていいかわからない」——その霧の中にいる時間が、いちばん苦しかった気がします。

でもいまは、

  • 何があるか
  • どれが自分に合いそうか
  • いまできることと、もっと先でいいこと

これがざっくり整理できた。 それだけで、相棒の寝顔を見るときの気持ちが、少し穏やかになりました。

これからも、

  • エンディングノートに相棒の情報を書き込む
  • 行政書士さんに相談予約を入れる
  • 信頼できる団体を調べる
  • 鍵を預けている友人と話す

これを少しずつ、半年〜1年かけて進めていきます。 進捗があったら、またこのブログで書きますね。

もし、同じように迷っている方がいたら、「一緒に少しずつ整えていきましょう」と言いたい。 重いテーマだからこそ、ひとりで抱え込まずに、誰かと並走しているような気持ちで。

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次回も、おひとりさまの暮らしと終活に関わるテーマで書いていきます。 よかったらまた、読みに来てくださいね。

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