父がケアハウスに入居して、しばらく経ちました。
入居が決まった日のこと、入居準備で揃えたものはこれまでに書いてきましたが、今回はいよいよ、いちばん聞かれることの多い話——お金のことを書きます。
というのも、私自身が施設を調べていた頃、いちばん知りたかったのが費用だったからです。それなのに、検索して出てくるのは「月7〜15万円程度です」というような、幅の広い目安ばかり。知りたいのはそこじゃなくて、「実際のところ、毎月いくら払うの?」「月額のほかに何にお金がかかるの?」ということでした。
いまは毎月、実際の請求書が手元に届きます。あの頃の私が知りたかった数字を、書ける範囲で残しておきます。
この記事でわかること
- ケアハウス(軽費老人ホーム)とはどんな施設か。特養・有料老人ホームとの違い
- 月額費用の内訳(居住費・生活費・事務費+介護型なら介護保険の個人負担)
- 事務費が親の収入によって変わる仕組み
- 実際の月額と、入居時にかかったお金(うちの場合)
- 施設費のほかにかかる、病院・薬・介護用品などのお金
- 保証人のこと(2人必要でした)
ケアハウスとは?特養や有料老人ホームと何が違うのか
ケアハウスは「軽費老人ホーム」という、公的な支援を受けて運営されている施設のひとつです。社会福祉法人などが運営していて、費用が比較的抑えめなのが特徴です。
高齢者の施設はいろいろあって、調べ始めた頃は名前を覚えるだけでも大変でした。ざっくり整理すると、こうなります。
| 施設 | 入れる人の目安 | 費用感 |
|---|---|---|
| ケアハウス | 60歳以上・自立〜軽めの介護度 | 抑えめ(所得により変動) |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則、要介護3以上 | 抑えめ(ただし待機が長いことも) |
| 介護付き有料老人ホーム | 施設による | 高め(入居金が数百万円の施設も) |
| サービス付き高齢者向け住宅 | おおむね自立〜 | 賃貸住宅に近い仕組み |
うちの父は要支援2です。特養は要介護3以上が原則なので対象外、有料老人ホームは費用面で現実的ではない。そうなったとき、「要支援でも入れて、費用も年金の範囲で考えられる」ケアハウスは、ちょうどいい選択肢でした。
なお、ケアハウスには「一般型」と「介護型」があります。一般型は食事や見守りなどの生活支援が中心で、介護が必要になったら外部の介護サービスを使う形。介護型は施設の職員から介護を受けられる形で、そのぶん費用は上がりますが、介護度が進んでも住み替えずに済むという安心感があります。
うちの父が入居したのは、介護型のほうです。
月額費用の仕組み:3つに分かれています
ケアハウスの月額費用は、大きく3つに分かれています。
- 居住費……家賃にあたる部分
- 生活費……食費や、共用部分の光熱費など
- 事務費……職員の人件費や管理費にあたる部分
そして、ここがケアハウスのいちばんの特徴なのですが——事務費は、入居する本人の収入によって変わります。
前年の収入(年金など)をもとに段階が決められていて、収入が少ないほど事務費の負担が軽くなる仕組みです。調べた範囲では、収入の段階によって月額の合計が7万円ほどから15万円超まで変わる、というくらいの差があります。
つまり「ケアハウスの費用はいくら?」の答えは、「親の収入によって違う」が正確なところ。年金だけで暮らしてきた親なら、負担はかなり抑えられる可能性があります。逆に言えば、パンフレットの料金表だけでは自分の親の場合の金額はわからないので、見学のときに「父(母)の場合はいくらになりますか」と聞くのがいちばん確実です。うちも見学のときに、父の年金額をもとに試算してもらいました。
うちの場合:毎月の請求書の中身
では、実際のところです。うちの父の場合、施設からの毎月の請求は、月12万円ほど。明細は、いくつかに分かれて届きます。
- 事務費……3万円ほど(父の年金収入をもとに決まった金額です)
- 生活費(食費など)……5万円ほど
- 居住費(管理費)……2万円ほど
- 介護保険の個人負担……1万円ほど
- 光熱費など……数千円
「居住費・生活費・事務費」の3つ建て、と説明しましたが、うちは介護型なので、そこに介護保険の個人負担が乗ります。施設の職員から介護を受けられるぶんの、自己負担分です。一般型のケアハウスなら、この行はありません。
ちなみに、明細には「欠食分」という減額の行もありました。入院や外出で食事をとらなかった日は、その回数分、食費が差し引かれる仕組みです。細かいのですが、こういうところはきちんとしているんだな、と少し感心しました。それから、冬(11月〜3月)は「冬期加算」として暖房費が少し上乗せされます。夏のあいだの請求はゼロなので、年間で見ると冬がやや高くなる、と覚えておくといいかもしれません。
正直、調べ始める前は「施設に入る=月20万も30万もかかる」というイメージがあって、身構えていました。ケアハウスの実際の請求書を見て、「これなら父の年金の範囲で回していける」と思えたことが、入居を決める大きな後押しになりました。
入居のときにかかったお金
月額のほかに、入居時にまとまって必要だったお金もあります。
まず、保証金(入居預かり金)。20万円でした。 賃貸住宅の敷金のようなもので、退去するときに、修繕費などを除いて返ってくる性質のお金です。入居した最初の月の請求は、この20万円が乗るぶん、当然ながらいつもよりぐっと高くなります(うちは24万円ほどでした)。施設によっては保証金なしのところもあるようなので、ここも見学時の確認ポイントです。
それから、部屋で使うものを揃える費用。カーペット、収納、ラジオ……このあたりは入居準備で揃えたもの・買わなくて済んだものに詳しく書いたので、これから準備する方はそちらをどうぞ。
見積もりに出てこない、「暮らし始めてからのお金」
そして、今回いちばん書いておきたかったのがここです。
入居前の試算は「月額+初期費用」で考えていました。でも実際に暮らしが始まると、見積もりのどこにも載っていなかったお金が、ぽつぽつと出てきます。
- 病院代・薬代……これがいちばん大きいです。持病の通院や薬代は、当然ながら施設の費用とは別。うちの場合、病院と薬局を合わせて、月にならすと1万数千円ほど。施設費と合わせると、毎月の父にかかるお金は、ぜんぶで13万円ほどになります
- ポータブルトイレ……入居してから、新たに購入することになりました。2万円台後半。介護用品は「必要になったとき」が突然来ます
- 散髪……施設に、月に1回、理容師さんが来てくれます。希望する人だけ、月額とは別払いで、1回4千円ほどでした
- 日用品の細々したもの……ティッシュ、洗面用具、下着、ちょっとした衣類。ひとつひとつは小さくても、毎月なにかしらあります
日用品については、うちの施設では週に1回、契約しているスーパーの移動販売が来てくれます。父はそこで、飲み物やお菓子など、ちょっとしたものを買っているようです。その買い物代は、あらかじめ施設にいくらか預けておいて、そこから支払われる仕組み。こういう、暮らしのなかの細かなお金の流れは、入居してみて初めて知りました。
どれも「言われてみればそうか」というものばかりなのですが、事前の資金計画にはまず出てきません。これから施設を検討する方は、施設の月額に、月1〜2万円ほど上乗せした金額で考えておくと、あとで慌てずに済むと思います。
ちなみに、病院代などの医療費は、確定申告の医療費控除の対象になる場合があります。医療費控除の仕組みは歯科矯正のときに詳しく計算した記事にまとめてあるので、よければ参考にしてください。
お金は誰が払う?そして保証人のこと
うちの場合、これらの費用はすべて父のお金(年金と蓄え)の範囲で払っています。ここは最初に決めておいてよかったことのひとつです。親の生活費は親のお金で。子の側の生活と老後資金は、別に守る。冷たいようですが、共倒れしないためにいちばん大事な線引きだと思っています。
それからもうひとつ、調べていた頃の私が知らなかったこと。
入居には、保証人が2人必要でした。
うちは、遠方に住む姉と私、ふたりでなりました。きょうだいがいれば分担できますが、これがもし自分ひとりだったら? そして——私自身が将来入居する側になったとき、保証人は誰に頼むのだろう?
父の手続きをしながら、自分の終活の宿題がまたひとつ増えたのを感じました。おひとりさまの「保証人問題」は、任意後見や身元保証サービスなど調べたいことがいろいろあるので、これはまた終活シリーズの続きとして、別の記事で書くつもりです。
おわりに
ケアハウスの費用について、実際に払っている立場から書けることをまとめました。
- 施設の月額は居住費・生活費・事務費が基本。介護型なら介護保険の個人負担が乗る。事務費は親の収入で変わる
- うちの場合、施設は月12万円ほど+入居時の保証金20万円
- そこに病院・薬代(月1万数千円)が加わり、父にかかるお金は毎月13万円ほど
- ほかにも介護用品・散髪・日用品など、見積もりに出てこないお金が月額の外側にある
- 保証人は2人必要だった
施設のお金の話は、渦中にいるときほど「誰かの実例」が欲しくなります。この記事が、あの頃の私と同じように検索している誰かの、目安のひとつになればうれしいです。
そして、親の入居手続きはそのまま、自分の老後の予行演習でもありました。「私のときはどうする?」の宿題は、これからひとつずつ、このブログで調べていきます。
