エンディングノートの書き方|50代おひとりさまが「全部書かない」と決めて、まず埋めた10項目

終活
記事内に広告が含まれています。

エンディングノートを書き始めて、数か月が経ちました。

以前、書いてみたらサブスクが思ったより重荷だった話を書きましたが、あれからも少しずつ書き進めています。そして途中で、はっきりわかったことがあります。

全部書こうとすると手が止まります。

市販のエンディングノートを開くと、項目がずらりと並んでいます。自分史、学歴、思い出の場所、伝えたい言葉……。最初のページから順番に埋めようとして、挫折した方も多いのではないでしょうか。

私は途中から方針を変えました。「全部書かない」と決めて、自分に必要な項目を10個に絞ったのです。そうしたら進むようになりました。

今日は、50代おひとりさまの私が絞り込んだ10項目と、実際に書いた順番、そして書いてみてわかったことをまとめます。


この記事でわかること

  • エンディングノートと遺言書の違い(法的効力のこと)
  • 「全部書かなくていい」理由
  • 50代おひとりさまが絞った10項目
  • 挫折しない「書く順番」の決め方
  • 手が止まりやすい項目と、その扱い方
  • ノートの選び方と、書いたあとにやること

エンディングノートとは?遺言書と何が違うのか

まず、いちばん大事なことから。

エンディングノートには法的効力がありません。

「財産はこの人に」とノートに書いても、法律上はその通りになりません。財産の行き先を法的に決められるのは遺言書だけです。

じゃあエンディングノートは意味がないのかというと、まったく逆です。役割が違うのです。

  • 遺言書……財産の行き先を法的に決める書類。書き方に厳格なルールがある
  • エンディングノート……自分の希望・情報・気持ちを残された人に伝えるためのノート。書き方は自由

遺言書には「延命治療はしないでほしい」とか「猫のごはんはこれです」とは書けません(書いても法的効力の対象外です)。エンディングノートは、そういう「法律では決められないけれど、伝えないと誰にもわからないこと」を引き受けてくれます。

法的効力がないということは、裏を返せば自由に書けて何度でも書き直せるということ。鉛筆書きでも、付箋だらけでも、空欄があってもいいのです。

※遺言書や任意後見契約について調べた話は、終活のバトンを、自分で組み立てるに詳しくまとめています。

定番の項目は驚くほど多い

市販のエンディングノートや終活サイトに載っている「書くべき項目」を並べてみると、だいたいこうなります。

自分の基本情報/自分史・年表/学歴・職歴/思い出・アルバムのこと/親族一覧/友人・知人の連絡先/かかりつけ医と持病/医療の希望/介護の希望/財産・口座/保険/年金/不動産/ローン・借入/クレジットカード/携帯電話・スマホ/パソコン・ネットのアカウント/葬儀の希望/お墓の希望/遺品のこと/ペットのこと/大切な人へのメッセージ/やり残したこと……

書き出しただけで、ちょっと疲れませんか。

真面目な人ほど「最初のページから順番に全部埋めなければ」と考えて、自分史のあたりで力尽きます。私も最初はそうなりかけました。

でも、考えてみたら当然なのです。市販のノートは、家族がいる人も、会社を経営している人も、誰が使ってもいいように作られています。全項目が自分に必要な人はほとんどいません。

だから絞っていいのです。

50代おひとりさまの私が絞った10項目

私が「これだけあれば足りる」と絞り込んだのは、この10項目です。

  1. 基本情報……氏名・生年月日・本籍、そして各種証明書の保管場所
  2. 親族・大切な人の連絡先……もしものとき誰に知らせてほしいか
  3. 医療・介護の希望……延命治療のこと、病名の告知のこと
  4. 葬儀・お墓の希望
  5. 財産……銀行・保険・サブスクなどの「一覧」(パスワードは書きません。理由は後述)
  6. デジタル遺産……ブログやSNSなど、ネット上のアカウントのこと
  7. 任意後見・遺言書のステータス……「準備した・していない」の現在地だけを記録
  8. 大切な人へのメッセージ
  9. ペットのこと……うちの猫の性格、ごはん、かかりつけの病院
  10. 遺品の処分方針

そして、あえて入れなかった項目もあります。

  • パスワード類……ノートを見られたり紛失したりしたときの危険が大きすぎるのと、パスワードは変わるので更新が追いつきません。「どの口座・どのサービスがあるか」の一覧だけ残せば、あとは正規の手続きで対応できます
  • 自分史・年表……私は葬儀を大きくするつもりがないので、使いどころがないと判断しました
  • やり残したことリスト……書いていて重くなるだけでした。やりたいことはノートに書かずに生きているうちにやります

この「入れない」の判断は人それぞれでいいと思います。大事なのは、誰かの決めた項目リストではなく、自分の暮らしから項目を決めることです。

書く順番は「意思が固まっているところ」から

10項目に絞っても、1番から順番に書く必要はありません。

私が実際に書いた順番はこうでした。

最初に書いたのは、基本情報と医療の希望でした。

延命治療はしない。病名の告知はしてもらう。——ここは迷いがありませんでした。一人で生きていくと決めてから、自分の中でとっくに固まっていたことだったからです。固まっていることを文字にするのは、ものの数分です。

葬儀とお墓も早い段階で書けました。私の場合は「あと」を残さないようにするつもりなので、遺品はすべて処分してもらう、お葬式は最低限——しなくてもいいくらいに考えています。お墓は共同墓地か、両親がお願いしている永代供養のお寺。三十三回忌まで見てくださるそうなので、それで十分だと思っています。

次に、親族などの連絡先。これも事実を書くだけなので迷いません。

その次がペットのこと。細かいところはまだ検討中ですが、うちの子のことは書き始めています。

そして——思ったより時間がかかったのが財産まわりでした。

特にサブスクとデジタル遺産です。書き出してみると、意外とあるのです。動画配信、音楽、クラウド、ブログ、SNS……。「私、こんなに契約してたの?」と自分で驚きました。おかげでこの機会にサブスクの見直しもできて、結果的に固定費まで軽くなりました。エンディングノートの思わぬ副産物です。

つまり、書きやすい順番はこうなります。

  1. 迷わないこと(基本情報・固まっている意思・連絡先)……すぐ書ける
  2. 調べれば書けること(財産・サブスク・デジタル遺産)……時間はかかるが進む
  3. 気持ちの整理が必要なこと(メッセージなど)……急がない

重要度の順ではなく、迷わない順。これが挫折しないいちばんのコツだと思います。

まだ書けていない項目が3つあります

正直に書きます。私の10項目のうち、まだ埋まっていないものが3つあります。

任意後見のステータス、大切な人へのメッセージ、そしてノートの保管場所です。

任意後見は調べるところまでは進みました(そのときの話はこちら)。でも契約まではまだです。だからノートには「検討中」の現在地だけが書いてあります。

メッセージは以前の記事にも書いたとおり、ペンが止まったままです。伝えたいことがないのではなく、あるからこそ、まだ言葉になりません。

でも、それでいいと思うようになりました。

エンディングノートは、一度で完成させる書類ではありません。空欄は「まだ決めていない」という、今の自分の正直な記録です。空欄のまま置いておいて、決まったときに書けばいい。法的効力がないからこそ、その気楽さが許されています。

ノートの選び方

「何に書くか」も最初に迷うところだと思います。選択肢は大きく3つです。

  • 市販のエンディングノート……項目が印刷されているので、考えなくても手が動くのが利点。書きたくない項目は飛ばせばOK。文具メーカーの定番品が書店や文具店で1,000円前後から手に入ります
  • 本についているノート・書き込み式の終活本……解説を読みながら書き進められるので「そもそも何をどう考えればいいか」から知りたい人向け。私も終活の入門書を1冊手元に置いて、調べながら書いています
  • 自由帳やパソコンで自作……項目を自分で決められるのが利点。私のように「10項目に絞る」やり方なら、むしろ自作のほうが向いています。パソコンで作る場合は、印刷して紙でも残しておくのがおすすめです(もしものとき、家族がパソコンを開けないことが多いからです)

どれを選んでも正解です。ただひとつだけ言えるのは、立派なノートを買うことより、1項目でも書き始めることのほうが大事ということです。

※自治体によっては、窓口で無料のエンディングノートを配布しているところもあります。お住まいの市区町村のサイトで「エンディングノート 配布」と調べてみてください。

書いたあとに、やることが2つ

書いて満足して引き出しにしまい込む——実はこれ、いちばんもったいないパターンです。ノートの存在を誰も知らなければ、書かなかったのと同じことになってしまいます。

やることは2つです。

ひとつめ、保管場所を決めて信頼できる人に伝えること。「もしものときは、あそこにノートがあるから見て」——この一言があって、初めてノートは役に立ちます。中身を見せる必要はありません。場所だけ伝えればいいのです。私はここがまだ宿題で、誰にどう伝えるか考えているところです。

ふたつめ、年に1回見直すこと。連絡先も、財産も、サブスクも、気持ちも変わります。誕生日や年末など、自分の節目に決めておくと忘れません。書き直すのは数分で済みます。

そして、エンディングノートを書き進めていくと、ノートでは決められないこと——財産の行き先や、判断能力が衰えたあとのこと——が自然と見えてきます。そこから先は遺言書と任意後見契約の出番です。私が調べた範囲のことはこちらの記事にまとめてあるので、よければ続けてどうぞ。

おわりに

エンディングノートの書き方をまとめると、私の答えはとてもシンプルです。

全部書かない。項目を自分の暮らしに合わせて絞る。そして、意思が固まっているところから書く。

10項目のうち3つはまだ空欄ですが、7つ埋まったノートは、去年までの「何も残していない私」より、ずっと頼りになります。

それに、書いてみて気づいたことがあります。「あとを残さないようにしよう」と決めて書き進めるうちに、サブスクが減り、モノの行き先を考えるようになり、いま現在の暮らしのほうが先に軽くなっていくのです。

エンディングノートは、終わりの準備のようでいて、実は今日からの暮らしを整えるノートなのかもしれません。

まずは1項目、迷わないところから。それで十分だと思います。

タイトルとURLをコピーしました