エンディングノートの書き方|50代おひとりさまが「全部書かない」と決めて、まず埋めた10項目

終活
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エンディングノートを書き始めて、数か月が経ちました。

以前、書いてみたらサブスクが思ったより重荷だった話を書きましたが、あれからも少しずつ書き進めています。そして途中で、はっきりわかったことがあります。

全部書こうとすると手が止まります。

市販のエンディングノートを開くと、項目がずらりと並んでいます。自分史、学歴、思い出の場所、伝えたい言葉……。最初のページから順番に埋めようとして、挫折した方も多いのではないでしょうか。

私は途中から方針を変えました。「全部書かない」と決めて、自分に必要な項目を10個に絞ったのです。そうしたら進むようになりました。

今日は、50代おひとりさまの私が絞り込んだ10項目と、実際に書いた順番、そして書いてみてわかったことをまとめます。

書き手:ゆは(プロフィール)。この記事は、自分のエンディングノートを書き進めた体験をもとにしています。体験談は執筆時点の記録で、制度の説明は一般的な情報です。参考情報確認:2026年9月4日。


この記事でわかること

  • エンディングノートと遺言書の違い(法的効力のこと)
  • 「全部書かなくていい」理由
  • 50代おひとりさまが絞った10項目
  • 挫折しない「書く順番」の決め方
  • 手が止まりやすい項目と、その扱い方
  • ノートの選び方と、書いたあとにやること

エンディングノートとは?遺言書と何が違うのか

まず、いちばん大事なことから。

エンディングノートは、希望や情報を伝えるためのもの。書いただけで、遺言書と同じ法的効力が生じるわけではありません。

「財産はこの人に」と希望を書き残しても、それだけで実現が保証されるわけではありません。相続に自分の意思を反映させたいときは、法律上の要件を満たす遺言書など、目的に合った準備を別に考える必要があります。

じゃあエンディングノートは意味がないのかというと、まったく逆です。役割が違うのです。

  • 遺言書……財産の行き先を法的に決める書類。書き方に厳格なルールがある
  • エンディングノート……自分の希望・情報・気持ちを残された人に伝えるためのノート。書き方は自由

遺言書に気持ちや希望を書き添えることはできます。ただし、書いたすべての希望が法的な効力を持つわけではありません。医療・介護で大切にしたいことや、猫のごはん・かかりつけの病院などは、エンディングノートに整理して、必要な相手と共有する形が考えられます。

エンディングノートは、自由に書けて何度でも書き直せる記録です。鉛筆書きでも、付箋だらけでも、空欄があってもいいのです。

参考:東京弁護士会「エンディングノートで出来ること、出来ないこと」。個別の相続や契約については、弁護士などの専門家に確認してください。

※遺言書や任意後見契約について調べた話は、終活のバトンを、自分で組み立てるに詳しくまとめています。

定番の項目は驚くほど多い

市販のエンディングノートや終活サイトに載っている「書くべき項目」を並べてみると、だいたいこうなります。

自分の基本情報/自分史・年表/学歴・職歴/思い出・アルバムのこと/親族一覧/友人・知人の連絡先/かかりつけ医と持病/医療の希望/介護の希望/財産・口座/保険/年金/不動産/ローン・借入/クレジットカード/携帯電話・スマホ/パソコン・ネットのアカウント/葬儀の希望/お墓の希望/遺品のこと/ペットのこと/大切な人へのメッセージ/やり残したこと……

書き出しただけで、ちょっと疲れませんか。

真面目な人ほど「最初のページから順番に全部埋めなければ」と考えて、自分史のあたりで力尽きます。私も最初はそうなりかけました。

でも、考えてみたら当然なのです。市販のノートは、家族がいる人も、会社を経営している人も、誰が使ってもいいように作られています。全項目が自分に必要な人はほとんどいません。

だから絞っていいのです。

50代おひとりさまの私が絞った10項目

私が「これだけあれば足りる」と絞り込んだのは、この10項目です。

  1. 基本情報……氏名・生年月日・本籍、そして各種証明書の保管場所
  2. 親族・大切な人の連絡先……もしものとき誰に知らせてほしいか
  3. 医療・介護の希望……延命治療のこと、病名の告知のこと
  4. 葬儀・お墓の希望
  5. 財産……銀行・保険・サブスクなどの「一覧」(パスワードは書きません。理由は後述)
  6. デジタル遺産……ブログやSNSなど、ネット上のアカウントのこと
  7. 任意後見・遺言書のステータス……「準備した・していない」の現在地だけを記録
  8. 大切な人へのメッセージ
  9. ペットのこと……うちの猫の性格、ごはん、かかりつけの病院
  10. 遺品の処分方針

そして、あえて入れなかった項目もあります。

  • パスワード類……ノートを見られたり紛失したりしたときの危険が大きすぎるのと、パスワードは変わるので更新が追いつきません。まず「どの口座・どのサービスがあるか」の一覧を残します。ただし、一覧だけですべての手続きができるわけではありません。サービスごとに解約・承継などの条件が違うため、公式の案内を確認する必要があります
  • 自分史・年表……私は葬儀を大きくするつもりがないので、使いどころがないと判断しました
  • やり残したことリスト……書いていて重くなるだけでした。やりたいことはノートに書かずに生きているうちにやります

この「入れない」の判断は人それぞれでいいと思います。大事なのは、誰かの決めた項目リストではなく、自分の暮らしから項目を決めることです。

書く順番は「意思が固まっているところ」から

10項目に絞っても、1番から順番に書く必要はありません。

私が実際に書いた順番はこうでした。

最初に書いたのは、基本情報と医療の希望でした。

延命治療はしない。病名の告知はしてもらう。——ここは迷いがありませんでした。一人で生きていくと決めてから、自分の中でとっくに固まっていたことだったからです。固まっていることを文字にするのは、ものの数分です。

これは私自身の希望で、誰にでも同じ選択を勧めるものではありません。医療・ケアの希望は、ノートに書くだけでなく、信頼できる人や医療・ケアチームと話し合い、変わったときは共有し直すことが大切です。参考:厚生労働省「人生会議とは?」

葬儀とお墓も早い段階で書けました。私の場合は「あと」を残さないようにするつもりなので、遺品はすべて処分してもらう、お葬式は最低限——しなくてもいいくらいに考えています。お墓は共同墓地か、両親がお願いしている永代供養のお寺。三十三回忌まで見てくださるそうなので、それで十分だと思っています。

次に、親族などの連絡先。これも事実を書くだけなので迷いません。

その次がペットのこと。細かいところはまだ検討中ですが、うちの子のことは書き始めています。

そして——思ったより時間がかかったのが財産まわりでした。

特にサブスクとデジタル遺産です。書き出してみると、意外とあるのです。動画配信、音楽、クラウド、ブログ、SNS……。「私、こんなに契約してたの?」と自分で驚きました。おかげでこの機会にサブスクの見直しもできて、結果的に固定費まで軽くなりました。エンディングノートの思わぬ副産物です。

つまり、書きやすい順番はこうなります。

  1. 迷わないこと(基本情報・固まっている意思・連絡先)……すぐ書ける
  2. 調べれば書けること(財産・サブスク・デジタル遺産)……時間はかかるが進む
  3. 気持ちの整理が必要なこと(メッセージなど)……急がない

重要度の順ではなく、迷わない順。これが挫折しないいちばんのコツだと思います。

まだ決めきれていないこともあります

正直に書くと、書き始めた今も、まだ決めきれていないことがあります。

任意後見のステータス、大切な人へのメッセージ、そしてノートの保管場所です。

任意後見は調べるところまでは進みました(そのときの話はこちら)。でも契約まではまだです。だからノートには「検討中」の現在地だけが書いてあります。

メッセージは以前の記事にも書いたとおり、ペンが止まったままです。伝えたいことがないのではなく、あるからこそ、まだ言葉になりません。

でも、それでいいと思うようになりました。

エンディングノートは、一度で完成させる書類ではありません。空欄は「まだ決めていない」という、今の自分の正直な記録です。空欄のまま置いておいて、決まったときに書けばいい。法的効力がないからこそ、その気楽さが許されています。

エンディングノートの選び方|市販・無料・自作を比較

「何に書くか」で迷ったら、まずは書き始めやすさで選んでみてください。主な選択肢を、向いている人と注意点で比べました。

書くもの向いている人選ぶ前の確認
市販の専用ノート項目を見ながら書きたい記入欄の広さ・文字の読みやすさ・不要な項目の多さ
書き込み式の終活本解説も一緒に読みたい発行・改訂年、説明と記入欄のバランス
公的機関の無料様式まず費用をかけずに試したい配布条件・印刷ページ数・自分に必要な項目
普通のノート・自作必要な項目だけに絞りたい見出しの付け方・更新方法・保管場所

私も終活の入門書を1冊手元に置いて、調べながら書いています。ただ、項目が多いから全部埋めなければいけない、ということではありません。自分に必要なところからで大丈夫です。

市販品を買うなら、商品説明や中面の見本で文字の大きさ、記入欄の余裕、開きやすさを確認すると選びやすくなります。価格や在庫は販売先で確認してください。パソコンで自作する場合は、本人以外が開けない場合も考え、必要な部分を紙で残す方法も検討できます。

無料で試したい方は、札幌法務局の案内ページにある「参考・エンディングノートのご案内」を確認できます。お住まいの自治体の配布案内も選択肢です。ダウンロード・印刷は、各ページの案内に従ってください。

立派なノートを買うことより、1項目でも書き始めることのほうが大事。迷う間は、手元の紙に「もしものときに連絡してほしい人」だけ書いてみるのも始め方のひとつです。

書いたあとに、やることが2つ

書いて満足して引き出しにしまい込む——実はこれ、いちばんもったいないパターンです。ノートの存在を誰も知らなければ、書かなかったのと同じことになってしまいます。

やることは2つです。

ひとつめ、保管場所を決めて信頼できる人に伝えること。「もしものときは、あそこにノートがあるから見て」——この一言があって、初めてノートは役に立ちます。中身を見せる必要はありません。場所だけ伝えればいいのです。私はここがまだ宿題で、誰にどう伝えるか考えているところです。

ふたつめ、年に1回見直すこと。連絡先も、財産も、サブスクも、気持ちも変わります。誕生日や年末など、自分の節目に決めておくと忘れません。書き直すのは数分で済みます。

そして、エンディングノートを書き進めていくと、ノートでは決められないこと——財産の行き先や、判断能力が衰えたあとのこと——が自然と見えてきます。そこから先は遺言書と任意後見契約の出番です。私が調べた範囲のことはこちらの記事にまとめてあるので、よければ続けてどうぞ。

おわりに

エンディングノートの書き方をまとめると、私の答えはとてもシンプルです。

全部書かない。項目を自分の暮らしに合わせて絞る。そして、意思が固まっているところから書く。

空欄や「検討中」が残っていても、書き始めたノートは、去年までの「何も残していない私」より、ずっと頼りになります。

それに、書いてみて気づいたことがあります。「あとを残さないようにしよう」と決めて書き進めるうちに、サブスクが減り、モノの行き先を考えるようになり、いま現在の暮らしのほうが先に軽くなっていくのです。

エンディングノートは、終わりの準備のようでいて、実は今日からの暮らしを整えるノートなのかもしれません。

まずは1項目、迷わないところから。それで十分だと思います。

次に整理したいことから読む

契約の一覧を作りたい方へ:エンディングノートを書いて気づいたサブスクの負担

ノートだけでは備えきれないことが気になる方へ:任意後見と遺言書を調べた記録

ペットの備えを考えたい方へ:猫と私の「もしも」の備え

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